映画「ピンクとグレー」感想(ネタバレ全開です)

映画及び映画パンフレット、原作(文庫)のネタバレを含んだ「感想文」ですので、未見及び未読のかたはご注意ください。

また、あえて原作の再読はしていません(最後に読んだのは先月の…いつかな…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行定勲監督はりばちゃんを生かしてくれたんだな…とエンドロールを見ながら思った。

 

最初の発表では中島裕翔くんはりばちゃん(河田大貴/河鳥大)役だったはずだったのに、いつのまにかその文言が消えてごっち(白木蓮吾/鈴木真吾)役になっていたこと。柳楽優弥くんを含めりばちゃんとごっち以外の配役が発表されなかったこと。また前宣伝で煽られた「62分後の衝撃」、などを含めて、物語は入れ子になっているところまでは想像していた。中島くんはごっちを演じているりばちゃんなのでは?という予想はあっていた。ただ柳楽くんは成瀬だと思っていたので、ぴったり62分後よりもそのあとに驚いたように思う。

 

私は原作のりばちゃんはラストで死んでしまったと読んでいた。ニコイチだったごっちとりばちゃんが離れてしまったのに、ごっちの生き方をなぞることによってごっちに連れていかれてしまう話だと。

だが、映画ではりばちゃんは生かされた。ごっちの生き方をなぞったが故にごっちから遠ざかり生き残った。原作ではりばちゃんの孤独を感じたが、映画ではごっちが孤独だった。

行定監督が「僕はごっちに感情移入していた。りばちゃんを残してしまった、どうしよう、と思っていた」というようなことをダ・ヴィンチに掲載された原作者との対談で述べていらっしゃったが、映画を観て得心がいったし、私と逆なんだな、ということが面白かった。

私は原作者や主演俳優たちより監督に年齢が近いから、余計にそう感じるのかもしれない。

青春から遠ざかった結果見えてくる青春がある。行定監督の描きはそういう側面もあるのかな。

 

 

役者について言及すれば、成瀬の悪役っぷり、三神のビッチさ、サリーの可愛らしさ、唯の美しさは想像以上で、ごっちのラスボス感、そしてりばちゃんの佇まいと演技の美しさ、大きなスクリーンで見ておいてほんとうによかった。

ただ、サリーは生身の役者さんによってあらわされると…なんというか、「男(及び男によって描かれた作品)にとって都合のよい女」から逸脱していない感じがなんとも言えず。もちろん三神や唯との対比でもあるので間違っているとは思わないのだが…映画「銀の匙」(中島健人主演)で漫画では気になっていなかった御影のカマトト的ウザさが浮き上がっているように感じたのを思い出した。

 

また、私が原作を読んだのはNEWS及び加藤くんについてほとんどまだ知らない時期だった。(最初は四人ではなかったこと以外はKAGUYAのPV及びメイキングを見ただけの状態であったと思う)そのためかどうか、パンフレットで個人的に衝撃的だったのは「6通の遺書」の意味だ。6と言えば「666」…悪魔の数字の連想しかなかったのに、原作者が自分がメタフィクションおたくであることを明かした中に6通という数字が置かれたこの対談を読んだ瞬間、当時のNEWSの人数と数字が結びついてしまい…あれ、もしかしてこれってそういう意味もあったの…?という衝撃をまさに今受けているところだ。

 

原作との対比で言うなら、木本くんがいなかった…いや、確かにカットされちゃうかな…と思ったので、「野性時代」のスピンオフはおそらく関係者試写が終わった後に書かれたものかな…とも思った。

 

最後にカメオ出演について言及する。行定監督は髪型で「今クランクアップシーンの…もしかして…いやまさか」となったが監督のカメオ出演には思いが至らなかったのでスルー、原作者は出てるはずなんだけどどこだー?と頭のどこかにありながら見ていたけどわからず、終演後のエレベーターの中で他の人の会話から「パーティーの後ろの方でちょろっと映ってたセーターがもしかしてそう!?」と思ったのだがあれはどうなのだろう。

…ということを含めてもう一度観たいのだが同じ映画を複数回観るような贅沢が許されない身なので、DVD/Blu-rayになる日をおとなしく待つことにする。

 

また「原作を読まないで映画を観た人」の感想も気になるので、これからそういった感想やネタバレに繋がりそうで避けたインタビューなども探しに行って読み漁ろうと思っている。

 

個人的には非常に楽しめたが、私は正直なところおそらく原作にはそこまで思い入れていないからかもしれないなあ、とも思う。

思い入れが深いと自分の脳内で上映されたもののほうが自分の好みの映像化になってしまうし(ここで言及する話ではないが「床下の小人たち」と「デビクロくんの恋と魔法」の2作品がどうしても受け入れがたかったのだ。デビクロくんはキャスティングもよかったのにな…)