TEAM NACSについてざっくりと。

 

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こちらに「水曜どうでしょう」で参加させていただいたのですが、どうでしょうについて書いているうちにどうしてもTEAM NACSについても書きたくなったので飛び込み参加させてください。

 

満杯になった北海道きたえーる。振られるペンライト。胸の高さのうちわは顔写真入りのオフィシャルグッズも、様々なメッセージがこめられた手作りのものもある。やがて客電が落ちると同時に沸き起こる大歓声。音楽と共にステージに飛び出してきて歌い出す…のはジャニーズ事務所所属のアイドルではない。

 

これは北海道ローカル芸能事務所「CREATIVE OFFICE CUE」所属タレントたちが2年にいちど行うライブイベント「CUE DREAM JAMBOREE」だ。事務所会長以下すべてのタレントが一堂に会して、自ら作詞作曲した曲を歌い踊り喋りコントをする。

 

ステージをひっぱるのはTEAM NACSの5人。彼らはSMAPとほぼ同年代の演劇集団である。今や「日本一チケットがとれない劇団」の二つ名もある彼らはそれぞれに単独でさまざまなドラマや映画に出演し、活躍している。5人のうち誰かしらがかならずその月の連ドラあるいは映画に出ていると言っても過言ではない。

 

まずはご存知大泉洋。今更説明もいらないだろうが、「龍馬伝」「真田丸」「まれ」とNHK大河ドラマや朝の連続テレビ小説をはじめとして様々なドラマや映画に出演し、トークでも独特の話術とツッコミ力には信頼がおける。

次いで安田顕。一見すると寡黙な昭和風ハンサムで、しばしば連ドラの脇をかためる渋い俳優だが、実は怪優と呼べるタイプで、有名なところでは鈴木亮平主演「変態仮面」のニセ変態仮面だろうか。ちなみにこの映画に出演することが告知された際にはYahoo!の「話題なう」に「安田顕 変態仮面ではない」という文字列が並んだ。(ファンの大半はヤスケンが変態仮面になると一瞬信じたのであろう…)

戸次重幸は、主人公を苦しめるエリートサラリーマンなどの少し嫌みな役も似合うイケメンだが、初めて出演した全国区のトーク番組で「一人ラピュタ」(ジブリ映画をひたすら一人で演じる=台詞を全部暗記している)を嬉々としてやってのけ、司会の女性たちをドン引きさせるなど、むしろその残念でファンから愛される。

音尾琢真。やや離れ目の渋い顔つきは実年齢よりだいぶ上に見え、NACSの末っ子でありながらまったく末っ子には見えない。個人的には演技力の確かさはNACSイチではないかと思っている。

リーダー森崎博之は他メンバーに比べ全国区の演技仕事は少ないが、農業をテーマにした教養番組を持ち、北海道の大地に根差してチームを支えている。

 

所属事務所会長「ミスター水曜どうでしょう鈴井貴之は所属タレントに「マルチであれ」と説いている。東京のタレントに負けずにローカルタレントとしての道を切り開いた人の言葉である。

 

全国区の番組への出演が増え、更に結婚などをも経て、ほとんどのメンバーが東京に生活の拠点を移した今でも、ローカルタレントとしての誇りがおそらく彼らにはあると思う。東京では放映/放送されないバラエティー番組、ラジオ番組がいまだに複数あり(ラジオはアプリなどを駆使すればなんとか手段はあるが)、先に記した2年にいちどのコンサートイベント「CUE DREAM JAMBOREE」も、ファンクラブ限定イベント「CUE THANK YOU FAN MEETING」も札幌でしか開催されない。

地元企業のCFに出演することも多く、企業サイトで動画を見ることは可能だが、テレビをつけて遭遇することはできない。

唯一TEAM NACSが全員揃うバラエティー番組「ハナタレナックス」は一年に一度DVDが発売されるがあくまで傑作選であり、先月発売された最新のものですら2007年のダイジェストなのだ!

なお、番組内容としては大河ドラマや朝ドラに主役級で出演している俳優がやっていると思えないほどひどい(褒めている)。

個人的に一番頭がおかしいと思う企画は、2013年に放送された、五人でかわるがわる屁をこいて録音し、絶対音感のある人をゲストに招いて「いまの屁の音階は何々」と判定してもらってベートーベンの第九を奏でよう、というものだ。

一方で、長年の付き合いがある番組ならではの良企画もある。当時メンバーのうち唯一の独身者であった戸次重幸に、他四人が結婚を決心するに至った経緯や家族のあたたかさを飲みながら語る、という回などは、その内容を伝え聞き心底から番組が全国放送されないことを恨んだ。

また、近年の五人そろっての演劇公演ツアーの際には密着映像もあるらしい。

いったい、関東南部の住民である私が正当な手段でこれらを観られるのははたしていつなのだろうか。また、ソフト化されたとしてもそれはダイジェストである可能性も捨てきれないのだ。

なお、来年初春には「ハナタレナックスEX」と銘打って特別編が全国放送される。今年2月に放映された第1弾では5人を1台の車に詰め込みかわるがわる運転しながら函館名所をめぐり美味しいものを食べるというファンなら絶対楽しい(一般視聴者は旅グルメ番組として楽しめる)ものだったので第2弾も今から楽しみだ。

 

肝心の演劇についても記さねばならない。現在ソフト化されて劇が観られるのは5本。話がつながっている訳ではないのでどれから見てもいいのだが、私の個人的なおすすめは一番古いソフトである第10回公演「LOOSER」だ。初めて道外で公演を行い(サンシャイン劇場での公演をあえて「地方遠征」と呼んだ!)チョンマゲもチャンバラもなく新撰組長州藩の確執を描いたこの芝居を、羽織を裏返すという手法を使いたった5人で演じている。

 

他にも大泉洋と戸次重幸、北海道テレビアナウンサー佐藤麻美の3人が尋常でない量の美味しいものをひたすら食べ続ける「おにぎりあたためますか」、大泉洋と札幌テレビアナウンサー木村洋二の二人によるバラエティー番組「1×8いこうよ」などは「水曜どうでしょう」同様全国のローカル局で放映されているので、お住まいの地域の番組表を見ていただきたい。どれも東京のキー局では見られないのびのびした彼らが楽しめると思う。

 

かつて大泉洋が「水曜どうでしょう」で先行してブレイクした頃、他四人は大泉洋について聞かれ「彼は客寄せパンダです!」と言い切っていた。そして言葉通り、大泉をきっかけにして他のメンバーも足場を得、

それぞれの魅力を発揮している。

 

このブログに興味を持ってくださる方で、5人の演技を1度も見たことがない人は少ないのではないだろうか。単独仕事もそれぞれ素晴らしいが、やはりTEAM NACSの魅力は5人揃った時にあるように思う。

何らかの機会で、5人の演技を、またバラエティー番組を見ていただければ嬉しい。